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「みんな僻んでんの。宮城先生ってうちの学園じゃ一応『イケメン』の部類に入るんだから。しかも、兄はあの『恭さま』。羨ましくて仕方ないのよ」
「ちょ、美紀?」
美紀の大胆な発言にどよめく教室。
痛いほどの視線を浴びながら、詩織は美紀の袖をギュッと握る。
すると、美紀はニコリと笑顔を周囲に振りまいた。
「まっ、毎日『恭さま』を見てれば、宮城先生だって詩織にとってはただの『先生』にしか映らないだろうけどね」
そんな台詞に「……だよね?」なんて声まで聞こえてきた。
「そうよね、小さいときから『恭さま』が男の基準なんですものね」
「恭さまから見れば、宮城先生だって霞んじゃうわよ」
「他の男なんて、『へのへのもへじ』以下ね」
「恭さまって、家でもあんなにお優しいの?」
「そんなの決まってるわよ! ねぇ?」
勝手に進んでいく会話に詩織は「ははっ……」と乾いた笑いを浮かべてその場をやり過ごした。
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