Blood1:吸血ノ少女

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「ごめん……女の子を叩くなんて最低だった…痛かっただろ?」 そう言ってここからでも見て分かるくらい赤く腫れた頬に触れようと手を伸ばした。 が、しかし。 「……………」 スッ…と。 鈴山さんはその場から一歩後ろにさがって、僕の手から離れる。 触れられることに拒絶を示す。 「………鈴山さ……」 「……失礼します」 僕が彼女の名前を言い切るより早く、というか僕の発言を遮るように彼女はそう告げた後、すぐにその場から走り去ってしまった。 鈴山さんが走り去る音はやがて消え、後に残ったのは虚しくその場に立っている僕だけであった。 俯いていた鈴山さんの表情は上手く読みとることができなかったが、たぶん泣いていたと僕は予想する。 当たり前だ。 自分より何歳も年下の女の子に加減もせず、本気で叩いたのだ。 しかも、その場の感情にそのまま流される形で、だ。 鈴山さんからすれば、自分の思っていることを汲み取ってもらえず、挙げ句の果てには逆上されて殴られたという最悪の出来事だったに違いない。 こればっかりは僕が悪い。 言い訳の余地も弁解も無く、そこにあるのは僕が後輩の女の子に自分勝手に逆上して手をだしたという事実だけだ。 「……最低だな……僕…」 暖かくも寒くもない生ぬるい風が、僕の肌を舐めるように通り抜ける。 鈴山さんも、この気持ちの悪い空気を肌に感じながら泣いているのだろうか。 改めて言おう。 噛みしめるように。 結果論だけを述べるように。 「……僕は…最低だ……」
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