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病院に運ばれた?
鈴山さんが?
ついさっき、一緒に食事をしていた彼女が?
『…春斗?ちょっと、春斗ってば』
「場所は!?」
僕はその場から一気に立ち上がる。
呑気に寝転がって電話なんてしてる場合じゃない。
僕は急いで外に出る準備を開始する。
いくらこの時期でも流石に夜道は冷えるので、僕は近くにあったパーカーを着て、それから部屋の鍵片手に玄関まで走る。
「おい、早く場所を教えてくれ!場所が場所ならタクシーで行かないと……!」
『だ~か~ら~、落ち着きなさいって』
「これが落ち着いてられるか!さっきまで一緒にいた子が病院に運ばれてるんだぞ!?」
『あのね~、まずは聞きなさい春斗。はいリラックスリラックス~』
由佳奈のやけに呑気な口調に思わず苛立ちを感じてしまうが、取り敢えず僕は言われたとおり彼女の言葉に耳をかたむける。
『良く考えてみなさい?病院に運ばれるといっても、それは重傷や事故にあった人だけじゃないでしょ?』
「……何が言いたいんだ?」
『あら?それくらいのことすら考えられないほど混乱しているのかしら?』
相変わらず通常運転というかのような話し方をする由佳奈はやがて、つまり……と勿体ぶるように話を区切る。
『彼女が病院に運ばれた理由は………』
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