雨の日の失敗

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 そういう反応をする男子は、初めてだった。男っぽい口調と男勝りな態度の関係で、女扱いされる事なんて滅多になかった。織子にとって、大輝は非常に新鮮な存在だった。  一度存在を認識すると、今まで見逃していた部分でも発見するようになる。授業間の移動時間、週刊誌を読みに行った図書室、たまたま通りがかった職員室の前、全校集会が始まる前の教師達の集まりの中。気付かなかっただけで、大輝はどこででも見つける事が出来た。  大輝側も先の一件で織子を認識したのか、よく挨拶してくるようになった。  特に昼休み、屋上に来る事が多くなった。邪魔だったら織子は食事をとる場所を変えていただろうが、不思議と大輝は邪魔にならない。黙っていても喋っていても、随分と居心地がいい相手なのだ。
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