雨の日の失敗

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「……別に、用がないわけじゃ、ねーし」  呟きも溜め息も余白に吸収される。そもそも、こんな事になった原因は、あの大輝にあるのに。 ----------  一般生徒である織子と、生徒会長である大輝。クラスメイトでもなければ同じ部活や委員会にも所属していない、帰る方向も違う、小学校や中学校だって違った二人の間に、本来接点はない。  そもそも織子は、大輝の存在をしっかりと認識していなかった。恋沙汰に興味がない織子は、「かっこいい人がいる!」というクラスメイトの話にも「ああ、そうかよ」としか返してこなかった。大輝が生徒会長に選ばれた時も「今回の生徒会長はすごい人気だなー」としか思わなかった。
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