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そのまま綾を返したくなかったのは、綾を思って。
だと思いたい。
強引にホテルの部屋に連れて行き、せめて物理的にもキレイにして欲しいとシャワールームに押し込んだ。
すごく似合ってたワンピースが無残な形に……
それだけで、あの男をこの世から消去してやりたい怒りが沸々と湧きおこる。
斎藤に電話をかけて、着替えを届けさせる。
洗面所にそっと置くと、すりガラスになったドアを隔てて聞こえる綾の泣き声。
ドアを開けて抱きしめたい衝動をなんとか抑えた。
それを許されてない自分の立場。
そんなの無視して突き進むほど若くも度胸もない中途半端な自分を直視できずに酒に逃げた。
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