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いい具合に酔いもまわってきた頃。
呆然と、心ここにあらずといった顔で綾がバスルームから出てきた。
一体どのくらい入ってたのかと時計を見ると、2時間近く経っていた。
逆上せたように赤く染まる顔とは逆に、心の奥底から青ざめたような顔。
地に足がついていないようにフラつく足取りは、湯あたりのせいではないだろう。
そして、広く開いたデザインの襟元から覗く真っ赤に腫れた擦過傷。
ゆっくりと近づく俺に、一瞬怯えたような顔をした綾。
無理もないと分かってはいても、ちょっと堪えた。
どこか冷めた思考の中、身体が酔っていて良かったと思う。
ツーッと赤く腫れあがった傷をなぞると、ビクンと動く身体。
どれだけ嫌な思いをさせたんだろうと、再び襲ってくる後悔。
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