友田直樹

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できればその嫌悪感ごと俺の中に取りこんでしまいたなんてガキ臭いことを思って『傷の上塗り』なんて幼稚な事をしてみた。 なのに―――― あの時の、照れた顔……反則だろ。 もう白旗を上げるしかなかった。 惚れた弱み。 俺、お前には一生敵わない。 それからずっと考えたんだ。 どうしたらこの手にお前を獲ることができるのか。 何をやっても、最後の一歩詰められない。 向こう側が透けて見える透明な幕が張られているようなそのもどかしさ。 綾には理解できないだろうね。 触れたいのに触れられないってことがこんなにも辛いなんて初めて知ったよ。
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