友田直樹

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小説家だなんて語ってるくせに、案外空っぽな事を自覚させられたり…… 俺、綾の前じゃ何もできない。 その頃にはもう、綾以外のなにも目に入らなくなってた。 気を紛らすために夜の街へ出てもどこか綾との共通点を探したりして…… だから、あの日。 綾が俺を頼って救いを求めてやってきたあの日、 よりによって女を連れ込んでるところを見られて、幻滅した顔の綾を見た時、なんて事をしたんだと後悔したのと同時に、自分という存在自体消えてなくなればいいとさえ思った。 だけど、悲しいかな綾への気持ちは捨て去ることなんてできなくて… どうしょうもないな俺。 「ごめん」の一言。 その言葉すら言えない俺の立場。 今さら遅いかもしれないけど、もう他の誰かで穴を埋めるのは止めようって思った。 これも、今までまともに恋愛してこなかったツケなんだ。 どうしていいのか分からない。 手探りの方法だって分からない。
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