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綾を縛り付けているものが、別れた旦那だってことは、知り合ってすぐに察しがついた。
だけど、それは綾も依存しているから何だと思っていた。
でもそれは俺の大きな勘違いで、あの男を必死で拒むお前を見た時、すごく嬉しかったんだ。
そして、そんなお前を罵るあの男を軽蔑した。
他人にあまり興味を持たない俺だから、人の好き嫌いは少ない方だと思う。
だけど、あの男だけは久しぶりに俺に『憎い』という感情を思い起こさせる奴だった。
ただ救いたかった。
伸ばした手を握り返してくれた時の綾のホッとした顔を見た時、そんな状況のくせに胸が躍った。
だけど突然気を失った綾。
真っ青な顔でピクリとも動かなくなった姿を見て、生きた心地がしなかった。
どれだけこの男に苦しめられてたのかと考えるだけでそいつの存在ごと消し去ってやりたいと思った。
ごめん綾。
もっと早くに気付いてやれば良かった。
俺に意気地がないばかりに……
俺に守らせてよ
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