友田直樹

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その媚薬のような香りに導かれるようにひときわ強くその香りを放つ耳の後ろへと唇を這わせると、ビクンと反応した綾の身体。 吐き出される甘い吐息。 クラクラした。 まるで童貞に戻ったように緊張した。 だから気が付かなかった。 お前の頬につたう一筋の涙に。 考えてみれば嫌だよな。 元夫に気を失う程怖い思いをしたんだ。 俺に触れられることだって怖いよな。 なんで、そんなことに気が付かなかったのか。 なんて事をしたんだと気がついた時には背筋が凍った。 後悔と、恐怖心。 もしかしたらお前の心の中に一生入れないんじゃないかって…・・
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