友田直樹

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と言っても、何か特別にするわけじゃない。 昔世話になったマスターと楽しい会話をして、美味い飯を食うだけ。 1年に一度の贅沢は、俺にとって今年も一年物書きを出来てるって実感するために必要なんだ 贅沢といっても、高い飯を食うわけじゃない。 濃い時間を過ごすって意味での贅沢。 だから、この日を誰かと過ごすって発想はいままでになかった。 だけど、今年は綾と過ごすこと以外考えられなかった。 迷わず綾のいる自宅へと向かう。 そこで予定よりも早い俺の帰宅に驚く綾の顔を想像するだけで顔じゅうの筋肉がゆるむ。 ハハッハ……どんだけ好きなんだ俺。 綾に対する思いに底は無い。 底なし沼のようにズブズブと奥深くまで沈んでいく。 気がついた時にはもう抜け出すことなんてできなくなっていた。 今日しかない。 お前に対するこの気持ちを今夜伝えよう。
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