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まぁ、意外にもデザインがヒットして、雑誌なんかでも取り上げられるようになったのは、誤算だったのかもしれないけど。
駐車場に車を停め、降りてすぐに目に入った真っ赤なワーゲンを見て、廻れ右して帰ろうと思った。
「イヤだぁ。友田ちゃんどこ行くのよぉ。入口はこっちよぉ」
車に向かって歩き出した俺の背中に投げ掛けられた声。
しまった……見つかったか
綾から連絡があつ入るか分からなかったし、すぐに自宅に戻れるように遠出は避けようと考えた結果、丁度いい場所にある斎藤の店で、綾へのプレゼントでも選ぼうと思ってたのに………
よりによって斎藤に見つかるとは。
ついてないな俺。
仕方なく振り替えると、ニッコリ営業スマイルを向けて立つ斎藤。
無駄に整った顔。
その容姿に似合わない仕草。
斎藤……降る手の小指が立ってるぞ。
俺は、盛大なため息をひとつ吐いてから、このピンチをどう切り抜けようか頭をフル回転させる。
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