友田直樹

27/48
前へ
/555ページ
次へ
まぁ、意外にもデザインがヒットして、雑誌なんかでも取り上げられるようになったのは、誤算だったのかもしれないけど。 駐車場に車を停め、降りてすぐに目に入った真っ赤なワーゲンを見て、廻れ右して帰ろうと思った。 「イヤだぁ。友田ちゃんどこ行くのよぉ。入口はこっちよぉ」 車に向かって歩き出した俺の背中に投げ掛けられた声。 しまった……見つかったか 綾から連絡があつ入るか分からなかったし、すぐに自宅に戻れるように遠出は避けようと考えた結果、丁度いい場所にある斎藤の店で、綾へのプレゼントでも選ぼうと思ってたのに……… よりによって斎藤に見つかるとは。 ついてないな俺。 仕方なく振り替えると、ニッコリ営業スマイルを向けて立つ斎藤。 無駄に整った顔。 その容姿に似合わない仕草。 斎藤……降る手の小指が立ってるぞ。 俺は、盛大なため息をひとつ吐いてから、このピンチをどう切り抜けようか頭をフル回転させる。
/555ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2470人が本棚に入れています
本棚に追加