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数あるジュエリーの中から1つに目が合うと止まった。
それは、派手ではないけれど燐とした輝きを持つ真っ赤な石。
「あら、いいとこに目がいくものね。それ、ガーネットって石なのよ。『秘めたる情熱』って意味のある石なのよ」
『秘めたる情熱』か。
俺が綾に対してもった第一印象だった。
「これにするよ」
「ありがとうございます。プレゼント包装でしょ?待ってて」
席を立とうとする斎藤を制する。
「いや、そのままでいい」
一瞬はっ?と言った顔をした斎藤も俺の意図を汲んだのかニヤリと笑った。
「まぁ。イヤらしい。分かったわよ。箱にだけ入れてくるわ」
「悪いね」
フフンと、意味ありげに笑って席をたって行った
少し冷めた紅茶を啜りながら、頭の中は綾のことでいっぱいだ。
鳴る気配のない携帯に目がいったのにハッと気がついて、自分でも恥ずかしくなる。
乙女か…俺は。
こんなとこ、斎藤に見られなくて良かったと、心底安心する。
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