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間もなくして小さな箱を入れたら紙袋をぶら下げて斎藤が戻ってきた。
その顔は気持ち悪いほどニヤニヤしている。
俺は、内心チッと盛大に舌打ちして、これからの時間を覚悟した。
案の定、それからは、斎藤の尋問。
まぁ、俺も作家の端くれ。
そのくらいの尋問には、のらりくらりと簡単にかわせる。
綾にも伝えてない核心なんて、お前に話すか!
やっと、斎藤がその事に気づいて諦めたのは、随分と時間が経っていた。
「あら、ヤダもうこんな時間。友田ちゃん、これからどこ行くの?」
「はっ?」
「まだ時間あるんでしょ?私、送っててよ」
「はぁー?お前車あるだろ」と言った俺の声を完全無視して俺の腕を引っ張りあげた。
痛いだろ。お前の力無駄に強いんだから。
仕方なく斎藤を送る。
何でもこれから得意先との商談で酒を飲むらしい。
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