友田直樹

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それから数日して、坂下さんに連れられてきた彼女を初めて見た瞬間、目を奪われていた。 深く澄んだ瞳 全てを諦めたようなその瞳の奥底に何かを求めてうごめく光をたたえたような……そんな瞳。 まるで自分を見せられているように思った。 柄にもなくその瞳に自分を映したくてからかってみたりして……でもきっぱり拒絶された。 案外凹んだ自分に驚いて「あぁ、まだ人間らしい感情が残ってたんだ」なんて年寄りじみた感慨にふけった その後も、綾の瞳に自分を映してもらいたくて、傍に近づこうとする俺を分厚い壁を作って拒絶したね。 綾に触れたくても、触れられない日々に、ガキみたいに欲求不満飽和状態になった俺は、綾の休みの日に、他の女を抱く事でなんとか正常をたもとうとしていた。
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