第27話

2/39
前へ
/39ページ
次へ
 リュックには、いつものマル秘道具、それに着替え、金欠の財布…… レンタカーで借りてきたシルバーのヴィッツ。助手席には相棒のリュックが乗っていた。 ――おせーよ、秋雄。俺様はいつだってお前に気を使って生きているっていうのに……。 玄関前に車を停め、彼らが下りてくるのを待っていた。助手席がノックされる。気付いた俺は助手席の窓を開けた。 「ごめんなさい信介さん、準備に手間取ってしまって……」 「いいえ、絵恋さん。今日もとっても可愛いです!」 満面の笑顔で言葉を返すと、絵恋は安心したように後部座席へと乗り込んだ。 ――チッ、助手席じゃないのか。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加