プロローグ

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2XXX年の大学3年生の夏、世界の経済界を震撼させる出来事が行った。 地球上の経済はすでに成熟しきっており、戦争は未だに続いてはいるが多くの企業が利益をこれ以上上げるのに紛糾していた。 しかし国連から出された声明文、それが我が国日本を、アジアを、世界を震撼させた。 現実ではない、もう一つの世界「VR世界」。 ホログラムがテレビの代わりとなり人工知能を有した介護ロボが人々の手助けをし始めて久しいが、未だにVRの世界は存在しなく、完成にはまだ1世紀はかかるだろうと言われていた。 だがそれが一気に覆されたのだ。 開発されたのはこの現実世界と全く同じ鏡の世界のような「現実世界」、昔の懐かしい風景と人工ではない自然が残る「旧世界」。 そして現実では絶対にありえない、魔法が存在する「魔法世界」の3つだけ。 だが俺にはそれで十分、だって選択肢は元々1つだけ……「魔法世界」の1択なんだから。 VR世界を楽しむための端子はヘッドフォン型とメガネ型の2つだけで、本来は購入形式なのだそうだが、どうしてか、そのどちらかを我が国日本は選択式に選び無料配布される事となった。 俺はちょうどメガネをかけていたこともあり迷うことなくメガネ型を選ぶ。 しかも視力矯正の度も入っていたから万々歳だ。 サービス開始はその年の9月1日0:00。 金持ちというほどではないが上と中間層の間くらいの我が家で何不自由していない俺はアルバイトはしていない。 サークルも入ってはいるが、活動は時々で飲み会も多いわけではない。 学生に余っているのは時間だけ、だからとにかく今は悔いのないように遊びなさい。 これは俺の父親の言葉だ。 幸い時間は父親の言うとおりたくさんあるし、真面目な俺は単位も十分にとっているためこのままでも卒業はできる。 もうVRの世界を楽しめと言われている他ないだろうと解釈しても仕様がないのだ、うん。 そうと決まればまずは準備が必要だ。 過去にたくさんのRPGゲームやMMOをやって来た俺だが、さすがにVRは初めてだし何が起きるか分からない。 少しでも情報を集めて最適な選択をしなければならない。 意気揚々とこれからのVRでの楽しい過ごし方を考えながら、おそらく俺と同じ考え方をしているだろう大学の友に連絡を取ろうと空中のウィンドウへと手を伸ばす。 就活だけどうしようかと考えて……。
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