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改装工事を終え、私たちの仕事場は広く、そして機能性が豊かになった。
改装により、部屋中に甘く、柔らかい木の香りがひろがっている。
「新しい木のカオリ…私、この匂い、すき♪ I like it .」
「随分いろいろ解決しましたもんね。僕のお給料あげてもらえると嬉しいんですがw」
「口を動かす暇があったら、手を動かしなさい、日村。あなたは、助手兼紅茶係兼パシリ兼人形係兼生贄役なんだから。」
「ちょ、三奈月さん!
助手で紅茶係でパシリの人形係は認めますけど、生贄ってなんですか!生贄って!」
必死に否定をしている中、玄関のベルが鳴る。
[ギンゴーンギンゴーン]
来る客は予想がついていたので、日村に声をかける。「お客さんよ、日村、ハグの心の準備を」
わけがわからないと言わんばかりに「は、ハイ!?」とこたえ、両手を思いっきり広げる。
分厚い扉を開いてづかづかと入って来たのは、木ノ元だ。一足ごとに自慢のリーゼントがゆれる。
「よー!日村ァ!元気してっか?」にかっとしたその笑顔は、古くからの友人、日村に向けられる。
「木ノ元!久しぶりだな!」
日村の広げられていた手が木ノ元をハグする。
予想通りの展開だ。
「刑事副長就任、おめでとう、木ノ元」
「三奈月さん!ありがとうございます!さすが三奈月さん、情報入手早いねー!」
そう、木ノ元は、私たちが改装工事に専念している間に、刑事副長試験を受け、見事合格。
決め手は検挙率の数の多さである。
そして、刑事副長としての初仕事に、警察に積極的に事件を解決した名探偵として、私に勲章を授与してくれたのだ。
まぁ、彼の検挙の40%は、私が被害者の霊に直接犯人を聞き、犯人の居場所を霊力で指定したことによって得たものなのだから、予測していた事態ではあるが、とても嬉しかった。
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