2275人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
名を呼ばれ、腰を抜かしたように動けないでいる私。
「…あなたは…もしかして…」
喉から絞り出した声が震える。
「私は、あなたが付き合ってる氷室祐司の妻です。安藤麻弥さん、あなたは氷室が妻子ある身だと知っていながら肉体関係を続けていましたよね?」
「…」
「黙っていても無駄よ。証拠はこんなにも揃ってるんだから。…哀れな小娘。主人はね、病気なの。恋愛依存症。あなたで何人目かしら…もう、忘れちゃったわ」
妻と名乗る女性は、私を見下ろし、馬鹿にしたようにククッと軽く喉を鳴らす。
恋愛…依存症?
あなたで何人目かしら?…ウソ…そんなはずない…だって、祐司さんは私だけを愛してくれてる。
奥さんとは冷めきった関係だからって、離婚に向かって話し合いを進めてるって…。
「どうせ、また神戸の夜景でも見せて愛の語らいでもしたんでしょ?そう言う男なのよ、アイツは」
…そんなはずがない…
最初のコメントを投稿しよう!