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「おはよう、シオ」
変わらない毎日がやってくる。
「今日の朝食は和食だよ」
「……パパと一緒なら起きない」
「どうして?」
知ってるくせに。
だからくすくす笑ってるのに。
そう思いながら唇を尖らせて。
「パパが納豆食べるなら起きない」
羽毛布団の中から顔だけ覗かせてそう口にする詩織に恭はまたクスリと笑った。
「シオに食べてなんて言わないよ」
そう恭が言うのに布団の中のシオは寝起きも手伝って渋い顔。
「あの匂いが嫌いなの」
そんなシオに恭は笑って、
「分かったから」
と、詩織の頭を優しく撫でる。
「鈴花さんに出さないでって頼んであげる」
「ホント?」
念を押す詩織に「ホント」と言って、恭はベッドから立ち上がりカーテンを開けた。
入り込む光に恭の姿が溶けていく。
「だから起きて、シオ。遅刻しちゃうから」
優しく輝くような笑顔に逆らうなんてことは――
だから、シオは「……うん」と頷いて身体を起こした。
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