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「そんじゃ、ここにすっか」
そう言って車が止まったのは『超』がつくほどの高級ホテルのロータリー。
「先生の給料って結構いいんだ」
ぼそりと呟く詩織の声に宮城はニヤリと口の端を上げる。
「見栄張ってんの、いつもは中華といえば餃子の王将」
「なに、それ」
即座に返ってくる詩織の台詞に、宮城はやれやれと言いたげに肩をすくめ車を降りる。
そして、詩織もベルボーイに開けられた助手席のドアから外に出た。
ゆっくり回る大きな回転ドア。
「挟まるなよ?」
「そこまで鈍くないもん!」
唇を尖らせる詩織を笑いながら、宮城の左手は詩織の腰に。
「じゃ、行きましょうか。お姫様」
「で、餃子の王将ってなに?」
「それはまた今度な」
そんな会話をしながらドアを抜ける。
床は大理石、天井は高く釣り下がるシャンデリアからの灯りは暖かいオレンジ色。
外に面した大きなガラスは綺麗に磨かれ柔らかい光が降り注ぐ。
「ここの最上階ラウンジって素敵ですよね」
詩織の声に「そうか?」なんて適当な返事。
そんなのは無視して天井に描かれた天使たちの絵を見上げる。
何度来てもここの雰囲気は心が和む。
「そんじゃ、デザートはそこで食うか」
「はい!」
ハンパ無く早い返事に宮城は呆れるように笑う。だから詩織もつられて笑顔になっていった。
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