第6話

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「髪、乾かしてあげる」 まだ半渇きの髪が恭の指の間をすり抜けていく。 本当はもっと話したい。 でも、 「……うん」 詩織がそう答えると、恭はとても優しい顔で微笑んだ。 そして立ち上がって詩織の手を引いて。 「広間へ行こう。もうそろそろおなかだって空いてくるんじゃない?」 恭は何でもお見通しだ。 食べたのはお昼。 今、窓の外は真っ暗で、アレから時間はかなり経ってるのがわかる。 だから小さく頷いて部屋着のままベッドから降りる。 恭の手をぎゅっと握ったまま。 「鈴花さんがアップルパイ焼いてくれたんだ。シオも好きでしょ?」 勿論好き。 甘いものがそんなに好きじゃない恭も、鈴花の焼くアップルパイは食べれる。 「それ、焼きたて?」 そう聞けば、恭はクスリと笑って部屋のドアを開ける。 「だから呼びに来たんだよ」 焼きたてのアップルパイは好き。 だけど一番好きなのは、恭と一緒に食べれるアップルパイ――。
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