第6話

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『宮城先生が好きなの?』 なんでこんなこと聞いたんだろう? あんまりいきなりで『違う』っていえなかったことを後悔するけど、後になって聞くのも変な気がして、触れることなく食べたアップルパイ。 『出来ればシオには聞かれたくなかった』 その言葉の意味も知りたかったけど、結局聞くことは出来なくて迎えた日曜日。 広間のソファに座ってクッションを抱きしめて天井を見上げて――。 「シオ、テニスしようか?」 いきなり見える恭の顔に驚いて、 「はっ? えっ? テ、テニ?」 「そう、テニス」 何も無かったかのように、いつもと変わらない笑顔。 「や、えっと、いいよっ! 今から映画でも――」 慌ててそう答えれば、綺麗な瞳が細められため息が落ちてきた。 「昨日食べ過ぎたんでしょ? 夜はアップルパイに我儘言ってバニラまで添えて食べてたよね?」 「焼きたてアップルパイには必需品だもん」 手をリモコンに伸ばして、唇を尖らせながらいいわけを。 「その脂肪が全部おなかについちゃうよ?」 「――なっ!?」 驚いて顔を上げれば、その隙にリモコンは奪われて、目の前にはラケットを2つもってにっこり笑う恭の顔。 「ほら、一人じゃテニスって出来ないから」 「……」 押し黙っていると、庭から番犬ケインの鳴き声が。 「ケインも準備万端だって、ね?」 結局、恭の笑顔に「NO」とは言えず、 「……着替えてくる」 そういい残して詩織は部屋に着替えに行った。
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