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「シオ、遅刻するよ?」
変わらない週明け。
いつもの声で目を覚まして、
「お嬢様! 早く召し上がってください!!」
いつもの声に急かされて朝食を取る。
「帰るときに連絡するから」
そんな声で恭と別れて教室へ。
何もかもがいつもどおり。
そう思っていたのに――。
「ようっ」
いきなりの声に肩が揺れてしまって、すぐさま振り返ることだって出来ない。
「なーに、固まってんだよ」
そう言いながら覗き込んできて近づく宮城先生の顔。
いつもと変わらない、変わらないはずだから――
「い、いきなり声掛けないでください!」
「はぁ? 『よっ』って言っただけだろう?」
「だから、普通、朝は『おはようございます』とか!」
バクバクする心臓を隠しながら噛み付くようにそう叫ぶ詩織に宮城は見下ろしながら「ふーん」と口の端を上げる。
「なぁに意識してんだか」
「してませんっ!」
「はいはい」
あしらうような台詞にムッとして、
「してないってば!」
「分かった分かった、ムキになんなって」
「なってませんっ!!」
「はいはい」
「聞いてるんですか?!」
「聞いてる聞いてる」
「――もうっ!」
いつもとは違う会話をしながら教室に入っていった。
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