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「願書出したのか?」
柊の声に恭は「うん」と頷いて薄く笑う。
ざわつく教室。
12月にもなれば3年生の教室は、受験組は血眼になって参考書を開き、推薦・エスカレーター組は安穏とした日々を過ごす。
「先生どもが騒いでたぞ? お前ならうちじゃなくてもっと上が狙えるのにって」
「柊だって。東海大の推薦枠蹴ったんだって?」
そう言われて柊も「まあな」と肩をすくめた。
「親の後を歩くのはつまんねぇからな」
「そんな柊が好きだよ」
簡単にそんな台詞を言ってのけるから――
「……勘違すんだろうが」
「柊ならいいよ」
「お前なぁ」
「とりあえず、コーヒーでも奢ってくれたら」
なんて台詞をニッコリ笑って口にする恭。
だから、
「なんかムカつくっ」
そう言いながら柊は恭の脛を軽く蹴って「いくぞ」と歩き始めた。
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