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放課後になるとざわつく教室。
「で、今日はどうすんの?」
「どうって?」
美紀の声に詩織が不思議そうに首を傾ければ、美紀のほうも不思議そうに首を傾けた。
「恭さんと気まずいんじゃないの?」
「そんなことあるわけ無いじゃん!」
速攻で返ってくる声に美紀は顔を歪ませた。
「だって、恭さんと『荻野千鶴』の仲を確認したんでしょ? で、宮城先生に泣きついたんでしょ?」
「なっ! 泣きついてなんかないもん!! それに、先生だって『恭が好きなのは――』」
『お前だよ』
あれは、本気――?
それともやっぱり『嘘』?
結局、恭に聞くことなんて出来なかった質問。
「誰なの?」
美紀の声にハッとして視線を合わせる。
「……誰だと思う?」
眉をハの字にしてそう聞けば、
「知らないわよ」
と呆れるように返されて、詩織も「だよね」と言いながらカバンを持ち上げた。
その中から取り出すのは携帯電話。
だけどソコには着信を告げる光は無くて肩を上下させてため息を一つ。
「今日はあたし英会話の日だから。5時までなら付き合ってあげる」
そんな台詞に顔を上げて、詩織は笑顔で「うんっ」と頷いた。
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