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校内にあるカフェは部活が始まるまでの時間しか開いてない。
そうなると必然的に――。
「お前ら、絶対勘違いしてるよな?」
ここは数学準備室。
「だって、カフェ閉まってるんだもの」
美紀は涼しい顔で紅茶をすすり、その向かいで詩織もカップ片手にコクコクと頷く。
だから宮城も諦めるように息をついて、カップにコーヒーを。
そして、気に留めることも無く詩織の隣に座ったりするものだから。
「何か進展したの?」
「進展って何?」
首を傾ける詩織に、カップを持ち上げニヤリと笑う美紀。
「宮城先生とキスした、とか」
予想外の台詞に手に持ったカップだって落としそうになって。
「はっ!? ――あ、ありえないってば!」
首をブンブン振って思いっきり叫ぶ詩織。
「だよなぁ? 俺としてはホテルまで連れ込んだからそれっくらいは」
一人ブラックコーヒーを片手に渋い顔でそんなことを言うから、
「つ、連れ込んだって、ご飯食べただけでしょう!?」
「へぇ、二人でホテル。これはスキャンダル物ね」
「いっそ、誰かパパラッチしてくれねぇかな?」
必死で弁明する詩織に楽しそうな美紀の声、さらに宮城が不満顔でそんなことを言うから――
「ありえないってばっ!!」
そんな叫び声に美紀は「やれやれ」と肩をすくめ、
宮城は「そこまで否定されると傷つくなぁ」なんて笑った。
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