第6話

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ゆっくりと沈んでいく夕日があたりをオレンジ色に染め上げる。 隣を見れば、恭の髪も同じ色に染められて――。 「なに?」 「あっ、えっと、……もしかして怒ってる?」 伺うように見上げて口にした台詞は小さい声。 だから恭はクスリと笑った。 「怒ってないよ。どうして?」 「だって――」 『宮城先生には近づかないように』 そういわれたのに何度もあの部屋に足を運んでるから。 自然と沸いてくる罪悪感。 それに気付いて恭はふわりと詩織の頭に手を置いた。 「あれはね、詩織が嫌な思いをするならって意味だから」 「えっ?」 「シオが嫌じゃないなら止めたりしないよ。それに――」 そこまで言って次の言葉が落ちてこないから詩織が見上げると、太陽に目をそばめる恭の顔がオレンジに染まる。 その顔は少し寂しそうで、とても綺麗で……。 でもそのあとは言葉が紡がれないから「なに?」と小さく聞けば、恭は少し困ったように笑った。 「忘れちゃった」 「忘れた?」 「うん、何言おうとしたか忘れた」 「……恭?」 不思議そうに名前を呼ぶと今度は自嘲気味に笑って、 「きっと大したことじゃないから」 そう言うから、詩織はまた「うん」と頷いて恭の隣を歩いた。
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