第6話

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「お前って冷たいよな」 「そう?」 軽く返事をして柊の隣へ座る。 「やっぱ、党内派閥に負けたからか?」 「何の話?」 何食わぬ顔でそんな言葉を返すから、柊もフンッと鼻を鳴らして口の端をあげる。 「で、次は誰と付き合う気だ?」 厭味をたっぷり含んだ台詞。 なのに恭はクスリと笑って柊を見た。 「俺は誰とも付き合ってないし、これからも付き合わないよ」 「じゃ、今までの女はみんな友達か?」 「友達、か……」 そう口にして恭は、車窓に視線を向けた。 眼下には手を振る女の子たちがいっぱい見える。 だからにっこり微笑んで軽く手を振れば、上がる悲鳴。 車内にいても聞こえるそれに柊が顔を歪めれば、恭はシートに背を預け今度は柊ににっこり微笑んだ。 「柊ほど分かり合えた友達はいないと思うけど?」 「その誤解を生むような言い方は止めろ」 さらに引き攣る柊の顔に恭はクスリと笑う。 「真実だから」 「止めろっ!」 その声に笑いながら「はいはい」と答えれば、動き出すバス。 恭がまた窓の外に視線を落とし、もう一度軽く手を売ればまた悲鳴じみた歓声がバスを見送った。
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