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そのとき、コンクリートの破片が手に触れた。
「嫌よ、忘れられない」
「君のそのしつこいところが、もううんざりなんだ」
付き合いはじめたころはかわいかった。おれがテレビを見ていると猫のように寄り添ってきて興味がないはずの野球中継でも付き添って一緒に見てくれた。
しかし、それもおれの誕生日まで。
「ハイ、誕生日プレゼント」
渡された白い箱は底が薄く、赤いリボンが斜めにかかっていた。
なにか上に着るものだろうと思って箱を開けると額縁だった。しかも洒落た絵が納まっているわけではなく、一枚の書類がこれ見よがしに貼り付いている。
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