一人の片思い

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電波塔は恋をする。 情報を彼に伝える誰かに、彼が情報を伝えた彼らに。 「今の世界は青銅期です」 しかめっ面して、神話を引用する現実主義者。汗だくで彫り上げた氷の炎の彫刻。 「世界は矛盾だね」 独り、荒野でぽつんと呟く電波塔。世界で一番、いろんなことを聞いて、見ているはずの電波塔は、いつも、常に独りで聳え立つ。もしかしたら彼が情報を伝えた彼らは、もういないのかも、しれないのに。 「ねぇ、確かにこれは愛の物語だ」 その呟きを聞くヒトは、誰もいないのに。
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