第一篇-滅亡-

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「こ…こんな物が受け入れられるとでも思っているのか!?」 最高戦争指導会議。 その会議の場で陸軍参謀本部の長官の松津治次郎参謀総長は声を荒げた。 「松津大将、落ち着きたまえ。」 「しかし西郷大臣、即時無条件降伏とあるのだから結局ここに書いてあることが守られる保証もない。 まだ負けたと決まったわけでもない、この宣言は黙殺すべきだ。」 西郷重森外務大臣は開戦前後にも外務大臣であり、日米交渉に於いては開戦回避に尽力した人物である。 現在はソ連を仲介して終戦工作にあたっている。 ソ連が講和を仲介する気など更々ないため無駄に終わっているが。 その後両名の間で討論が交わされ、佐々木首相はこの宣言を黙殺すると発表した。 この時既にアメリカ軍は沖縄をほぼ占領している。 長門以下連合艦隊の主力艦は撃沈されたり空襲により稼働不能になり、海軍は既に消滅したといっても良い状況である。 斯くして徹底抗戦を唱える陸軍は発言力をましてゆくのであった。
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