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「違う…空きベッドも附属よりもずっと有る。
医者の人数も不足していない。」
「じゃーなんで?」
「患者の人数で給料が決まるわけじゃないから、
みんな楽したいんだよ。」
ため息交じりにそう呟くと、
親父は眼光が鋭くなったし、
隆ちゃんはため息をつくし、
姉貴に関してはこの雰囲気を取り成そうと
違う話題を必死に探している。
「大祐も…同じ考えなのか?」
親父の問いかけに力なく首を横に振り
「 受け入れたとしても…24時間俺が対応できるわけじゃない。
俺が不在な時に、何かあったらって思ったら
怖くて重症患者の受け入れは出来ない。」
すべての患者さんを元気に送り出しているわけじゃない。
時には無力で何も出来ずに命を送った経験も
何度も有る。
だけど、J大の時は
俺がいなくても、チームのみんなが一丸になって
患者さんに対応していたから、休みの日に不安になる事もなかった。
だけど医療センターで働いてみて、
俺がいない時にどんなことやってるのか?って思ったら
不安で不安で、とてもじゃないけど
重症患者さんの受け入れなんて出来なかった。
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