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確かに…勘が鈍った。 ここのぬるま湯みたいな仕事に慣れ過ぎていた。 真面目にやばいと思い始めているが、 新しい職場をまた一から探すのも嫌だった。 あんなに目指した背中が大きいとは思いもしなかった。 ******* 「おとーさーん!!!」 帰宅する親父に駆け寄ると 疲れたって顔をしていたはずの親父は 絶対にその顔を見せまいと、 「ただいまー。」って大きな手で俺の頭を撫でてくれた。 抱え上げる事が出来なくなるまで 俺を担ぎ上げたし、 姉貴と俺を両腕に抱き上げて 「重い…」って冷や汗かきながらも いい年になるまで担ぎ上げてくれた。 材木担ぎみたいに抱え上げ 親父たちの寝室のベッドに投げつけられるって遊びも 俺と姉貴の大のお気に入りだった。 バフンっとベッドのスプリングが軋むほどの力技に、 俺も姉貴も『キャーキャー』言いながら 親父に何度も飛びついた。
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