友達が王道王道と煩いです。

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  エレベーターの前でなんやかんやと喋ってたらエレベーターが来たので、4人で乗り込んだ。 流石セレブ学校、エレベーター内の装飾とかも品があってかなり豪華だ。 ぐるりと全体を見た後、ボタンを押して扉を閉める。 仁はどうやらこの状況をあまり歓迎していないらしく、雅や黎斗がいることに対して文句こそ言ってないが、無表情で極端に無口になった。 姿からは想像できないが、もしかして人見知りなのか…? 証拠に俺の肩に手を置いたまま、一人明後日の方向を見ている。 若干肩が重いが我慢することにした。  「あ、朔埜。昨日聞き忘れてたけど今日の昼、学食どっち行く?」  「…え?どっちとな?」 雅の言葉に首を傾げた。 その言い方だと学園内に学食が二カ所あるみたいだ。 …まさか、あるのか?  「あー、うちの学食な、何でか二カ所あるんや。第一食堂が和洋中で、第二食堂がそれ以外の外国料理。」  「…え、なにこの至れり尽くせり状態。ここどこだっけ。高級ホテル??」  「うん、気持ちは解るで。俺も最初は場違い感が半端なくてカナリ居心地悪かったもの。一般庶民からしたらこの学校、色々おかしいもんな…」  「…もしかして、黎斗も外部生?」  「せやで。お家は至って普通の一般家庭です。」 思わずガシッ、と黎斗と固い握手を交わした。 今でこそ奏さんの義理の息子で上流階級の仲間入りしてるけど、この前までギリギリの生活をしてた俺は根っからの庶民だ。 この言葉にならない居心地の悪さを理解してくれる奴がこんなに身近にいるとは… 中々の変人だけど。 璃愛ちゃんと同じ系統の変人だけど。  「…朔埜、俺も一緒に学食行く。」 黎斗と熱い握手を交わしてると、それまで無口だった仁が口を開いた。 相変わらずムスッとしてるが、会話に入りたくなったんだろう。 疑問系じゃなく、きっぱり“行く”と言い切ったゴーイングマイウェイな仁に、苦笑が零れる。 俺だけなら全然いいんだけど、雅や黎斗もいるんだからもうちっと言葉選びましょうぜ仁さん。 ほら、雅がちょっと微妙な顔になっちゃっただろ。 昨日で解ったけど、雅は礼儀とかには結構ウルサいタイプなんだよ。 手癖足癖と口は悪いがな。  
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