2人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
もう死のうか、故郷も家族も全て失った、生きている意味がない。
――ホントウニシニタイノ?
「誰だ!」
そう叫ぶが周囲には誰もいない。
――シヌマエニヤルコトガアルンジャナイ?
「や、やることだと? 」
男とも女ともとれない無機質な声だけが聞こえる。
――ソウトッテモダイジナコトダヨ。
「お前は……誰なんだ」
得体の知れない声に尋ねる。
――ボクハ“アクマ”ダヨ。キャハハハッ。
「……ン……ク……キャハハハッ! 」
ついさっき息絶えたはずの娘が急に起き上がって笑いだした。
「……っ!? 」
どうなってるんだ、この娘はさっき確実に死んだはずだ。
「キャハハハッ! 驚いたァ? ボクだよ“アクマ”ダヨー」
そう言いながら娘は体をゆっくり起こした。開いたままの腹の傷から臓物が気味の悪い音を立てて溢れ落ちた。
娘の体を乗っ取ったらしいこの悪魔は薄笑いを浮かべている。
「ネェネェお兄さん、復讐したくなァイ? 」
「ふ、復讐? 」
俺が戸惑いながら聞き返すと、悪魔は笑みを浮かべたまま頷く。
「そうダヨ、復讐スルのダヨォ! お兄さんの故郷をグチャグチャにシタ奴らにネェ」
悪魔はキャハハハとまた薄気味悪い笑い声をあげる。
「ボクがお兄さんにチカラをあげるヨォ、復讐のためのスッゴい強ぉーいチカラ。このチカラで復讐の成功は間違いナシ! だからボクと契約しなァい? 」
悪魔が冷たい指先で俺の頬を撫でる。
最初のコメントを投稿しよう!