第1話

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もう死のうか、故郷も家族も全て失った、生きている意味がない。 ――ホントウニシニタイノ? 「誰だ!」 そう叫ぶが周囲には誰もいない。 ――シヌマエニヤルコトガアルンジャナイ? 「や、やることだと? 」 男とも女ともとれない無機質な声だけが聞こえる。 ――ソウトッテモダイジナコトダヨ。 「お前は……誰なんだ」 得体の知れない声に尋ねる。 ――ボクハ“アクマ”ダヨ。キャハハハッ。 「……ン……ク……キャハハハッ! 」 ついさっき息絶えたはずの娘が急に起き上がって笑いだした。 「……っ!? 」 どうなってるんだ、この娘はさっき確実に死んだはずだ。 「キャハハハッ! 驚いたァ? ボクだよ“アクマ”ダヨー」 そう言いながら娘は体をゆっくり起こした。開いたままの腹の傷から臓物が気味の悪い音を立てて溢れ落ちた。 娘の体を乗っ取ったらしいこの悪魔は薄笑いを浮かべている。 「ネェネェお兄さん、復讐したくなァイ? 」 「ふ、復讐? 」 俺が戸惑いながら聞き返すと、悪魔は笑みを浮かべたまま頷く。 「そうダヨ、復讐スルのダヨォ! お兄さんの故郷をグチャグチャにシタ奴らにネェ」 悪魔はキャハハハとまた薄気味悪い笑い声をあげる。 「ボクがお兄さんにチカラをあげるヨォ、復讐のためのスッゴい強ぉーいチカラ。このチカラで復讐の成功は間違いナシ! だからボクと契約しなァい? 」 悪魔が冷たい指先で俺の頬を撫でる。
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