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奇妙な光景と浮遊感の後に視界が元に戻ると、そこは城壁に囲まれた大きな街の郊外だった。
「到着ゥー! キャハハハッ! 」
「おい悪魔、いったいこれはどうなってるん……ッ! 」
悪魔のほうに目を向けると、悪魔は膝をついて倒れ込んだ。
力なく横たわっているのに、表情は相変わらず 薄笑いのままだ。
「キャハハハッ! もうコレに憑依するのは限界みたいダヨ。それジァお兄さん復讐頑張ってネェ」
「おい待てお前にはまだ聞きたいことが……」
「大丈夫ダヨお兄さん。お兄さんにはその剣のホカにも色々チカラをアゲタからネェ。また復讐がオワレバあいにくるし、バイバーイッ! 」
悪魔が抜け出したのか娘の体は元の死体に戻った。
街に入った俺は、ただ憎しみに身を委ね剣を振るった。
何人斬ったかなど覚えていない。
俺に反撃しようと突き出した槍も、放たれた矢も、斬りかかってきた剣も全て灰になった。
悪魔が与えた力であろうそれは、誰一人として俺を止めることを許さなかった。
奴らが身に纏う黒い鎧を紙きれのように引き裂き、文字通り血の雨を降らす。
「ひぃ……あ、悪魔だぁ」
全身に返り血を浴びたその姿はまさに悪魔と呼ぶにふさわしい。
俺のことを悪魔と言ったその兵士は恐怖のあまり失禁し白目を剥いて気絶した。
いつの間にか街の中心部まで来ていたようだ。
いたるところに無惨に切り裂かれた死体が山のように積み重なっている。
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