第1話

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                (1)  風が激しくびゅうびゅうと音を立てて吹いている外界は凍てつくような寒さである。手はかじかみ地面には霜柱が立っている。真冬に寒さが身体を冷たくする。周囲は山々に囲まれ、甲高い鳴き声で野鳥がサイレンのような声を張り上げている。辺りは森林に包まれているが、よく見るとアスファルトが敷かれ、車がエンジンをゴーゴーと響かせながらすごいスピードで道路を滑走している。  周囲の空気は冷え込みかすかに霊気を含ませている。霊気の漂う方に進ぬと静かな佇まいをした大きな鉄筋コンクリート製のお屋敷のような建物がある。建物はかなり古く老朽化が進み、所々メッキがはげている。辺りには人気はないが、この建物からは大勢の人間の気配が漂っている。建物には窓がたくさんあり相当な部屋数である。ずいぶんしっかりした構造なっている。
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