二人の関係

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初めて出会う香水の香りに包まれた彼の部屋。    14畳程はあると思われるリビングは、真っ白な壁に家具はグレーとブラックで統一されとてもシンプルな空間だった。     名東区でこれだけの広さのリビングが確保されたマンション。 1LDKでも月15万以上はするんだろうな…。     初めて入る寮以外のドクターの部屋 私はソファーに座り、遠慮がちに部屋の中を見回した。     「飲み直しはワインでいいよね」 先生は、赤ワインとグラスを目の前のテーブルに置き微笑んだ。 「じゃあ乾杯を...あ、そう言えば俺、神崎さんの下の名前知らなかった」      「えー知らないの?白衣のネームプレートに書いてあるのに。…綾子です。神崎綾子」     病棟に出入りしてた時はあんなに関わってたのに。   やっぱり私なんて全く眼中に無かったって事か... そう思うと、少し残念。 「ごめん。ナースのネームプレートなんて見たことないや。綾子ちゃんか。改めて、綾子ちゃんとの出会いに乾杯」   二人の手にするグラスが触れ合った瞬間、静かな空気に包まれ優しい音色を奏でた。   「出会いに乾杯だなんて、今時そんなキザなセリフ言う人がいるんだね」 「イイだろ?たまにはキザなセリフも」 耳の辺りに感じるほのかな熱。 自分でも驚く程の過剰反応に戸惑う。 見たことのない先生の笑顔。「みんなの知らない先生」と言う特別感が、私のテンションを高める。 一緒にいると楽しい。 少し辛口のワインも舌の上で甘く溶けていく。     
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