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「この髪、可愛いね。ふわふわしてて...」
先生は、緩やかなカールがかかった私の髪を遊ぶように指で絡める。
「綾子ちゃん、いい香りがする。何の香水?」
先生の甘い吐息が耳に吹きかかる。
私は思わずビクッと体をこわばらせ、息を飲んだ。
「イヴ・サンローランのベビードール...」
「へぇ...甘くて美味しそう」
耳朶に微かに先生の唇の感触。
「ふっくらした唇...キスしたら気持ち良さそう」
近づけられた先生の顔。
しなやかな長い指が、まるで愛撫をするかのように私の唇を撫でた。
私を欲する彼の瞳と、指先から発する体温が私の身体を火照らせる。
先生とこのままキスをしてしまったら...
胸の奥がドクンと大きな音を立てた。
次の瞬間、小さく震える唇が
「先生...彼女いないの?」
そう言葉を発していた。
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