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暗祭の言葉は、グサグサと俺の心に刺さってきた。
「……んな訳ねーだろ?この場所が好きなんだよ。ただ……好きなんだよ、うん」
俺は、気にしている素振りを見せないように返事をした。
しかし、自分でも分かるくらいのぎこちなさがあった。
さすがの暗祭も、深い溜め息をついていた。
「ハァ……。お前さん、それ気にしてますって言ってるもんだぜ?」
「うぐっ💧」
案の定、そう突っ込まれた俺はシナシナとしてしまった。
本当は、理由があってここにいる。
それは、暗祭も薄々分かってることだった。
「あれから行ってないだろ?墓参り」
「まぁ…な……」
俺は、箸を置きながら言った。
苦り切った顔になっているのは、何となく分かった。
「……なんか、さ。行けないんだよ、あそこ」
「違う、お前さんは行けないんじゃない。行きにくいんだろぃ?」
またもや図星だった。
さすがの俺も、とうとう折れるしかなかった。
「墓参り……行ったらどうなんでぇ?もうすぐその日だろぃ?」
「いや、毎日毎日此処に来て、思い出に浸るってのも………」
「それは、お前さんの自己満足だ」
俺の言葉を遮るように、暗祭は言った。
いつもの明るい声ではなく、冷たく突き放したような声だった。
「そうやって何時までも過去に浸ってる暇があるなら、ちったぁ挨拶にでも行ってこい」
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