プロローグ

3/4
前へ
/76ページ
次へ
暗祭の言葉は、グサグサと俺の心に刺さってきた。 「……んな訳ねーだろ?この場所が好きなんだよ。ただ……好きなんだよ、うん」 俺は、気にしている素振りを見せないように返事をした。 しかし、自分でも分かるくらいのぎこちなさがあった。 さすがの暗祭も、深い溜め息をついていた。 「ハァ……。お前さん、それ気にしてますって言ってるもんだぜ?」 「うぐっ💧」 案の定、そう突っ込まれた俺はシナシナとしてしまった。 本当は、理由があってここにいる。 それは、暗祭も薄々分かってることだった。 「あれから行ってないだろ?墓参り」 「まぁ…な……」 俺は、箸を置きながら言った。 苦り切った顔になっているのは、何となく分かった。 「……なんか、さ。行けないんだよ、あそこ」 「違う、お前さんは行けないんじゃない。行きにくいんだろぃ?」 またもや図星だった。 さすがの俺も、とうとう折れるしかなかった。 「墓参り……行ったらどうなんでぇ?もうすぐその日だろぃ?」 「いや、毎日毎日此処に来て、思い出に浸るってのも………」 「それは、お前さんの自己満足だ」 俺の言葉を遮るように、暗祭は言った。 いつもの明るい声ではなく、冷たく突き放したような声だった。 「そうやって何時までも過去に浸ってる暇があるなら、ちったぁ挨拶にでも行ってこい」
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加