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そう言って、影のなかに帰っていった。
「………………」
俺は一人になった。
独りぼっちの昼飯なんて、何十年ぶりになるんだろうか。
俺は、再び箸を動かし始めた。
正幸が作ってくれた弁当は、もう何度食べているんだろう。
母さんが死んで、家事のすべてをこなす義弟(オトウト)は、今は松組いる。
俺は、無意識に顔を上げた。
そこには、三人の生徒がいた。
男子生徒二人と女子生徒は、楽しそうに話をしながら、噴水の縁に座っていた。
──なんだ?幻か?
俺は、ジッとその三人を見た。
色の黒い男子生徒は、オッドアイの男子生徒と何やら言い合っていた。
その隣にいるベレー帽を被った女子生徒は、ニコニコと笑っていた。
何だか、懐かしい感じがした。
「なぁ」
俺は、三人に声をかけた。
すると、オッドアイの男子生徒とベレー帽を被った女子生徒が振り向いた。
「お前ら………お前らは、俺を──」
──今の俺をどう思ってるんだ?
そういいかけると、二人はキョトンとした顔をして笑った。
──お前のことか?ん~……──
──そうだなぁ……晋のこと──
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