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秋雄が舞台に一歩一歩近づくと、場内の拍手が一段と大きくなった。スポットライトが、まるでアイドルを追いかけているかのように輝かしく照らしていた。
「うわぁ……お兄さん、俳優さんみたい!」
「うん……凄くかっこいい。絵恋さんは幸せ者です!」
双子たちは目を輝かせ、秋雄の背中を見送っている。
「どこが? 俺だってあのくらいのライトを思いっきり浴びせてくれたら、アイドルグループ、ジャニーズン登場の域だよ」
余っているたこ焼きの楊枝を掴み、かつお節とソースを思う存分からめ、忌々しく口に放り込んだ。
「信介がそんなに照らされたら、汗だくになるだけでしょう? お気の毒」
――うるせぇー、ボケェー。
思わず棒読みで言っちまった。
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