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「……信介。石橋は何度も何度も叩いて渡れよ! 霰、絵恋さんを外に連れ出して! 信介行くわよ!」
「分かったわ! 霙、気をつけるのよ!」
「貴方たち……ちょ、ちょっと、どういうこと?」
暗闇の中、霰は急いで絵恋を立たせ、無理やりにでも手を引いた。俺は力任せに霙に手を引っ張られ、前のめりに重い体を立ち上げた。
「皆さん。停電のようです! 事態が把握できるまで、落ち着いてくださいませ! ……う! これはなんだ!?」
――なんだか煙くない……?
――これは火事か?
――きっと、火事よ! 逃げなきゃ!
ざわめく人達の会話が耳に入り、ただ事じゃないと確信をした。
――もしかすると、秋雄が……? 早く助けださなくては!
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