第29話

16/32
前へ
/32ページ
次へ
「……信介。石橋は何度も何度も叩いて渡れよ! 霰、絵恋さんを外に連れ出して! 信介行くわよ!」 「分かったわ! 霙、気をつけるのよ!」 「貴方たち……ちょ、ちょっと、どういうこと?」 暗闇の中、霰は急いで絵恋を立たせ、無理やりにでも手を引いた。俺は力任せに霙に手を引っ張られ、前のめりに重い体を立ち上げた。 「皆さん。停電のようです! 事態が把握できるまで、落ち着いてくださいませ! ……う! これはなんだ!?」 ――なんだか煙くない……? ――これは火事か? ――きっと、火事よ! 逃げなきゃ! ざわめく人達の会話が耳に入り、ただ事じゃないと確信をした。 ――もしかすると、秋雄が……? 早く助けださなくては!
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加