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霙に手を引かれていた俺だが、そう思い立つと霙より前にでた。
急がなくては!
――火事だ! 出口に向かわなきゃ!
――きゃあああ! 煙よ!
「霙! 本当に火事かも知れない……気をつけろよ。俺の手を掴め!」
出口へ一直線に向かう人々。我が先だと言わんばかりに、熱気と共に押し寄せる。
怒涛の大波に逆らうが、ぶつかり合う体に、スムーズに舞台へと近づけなかった。
「こっちはあんたより場数を踏んでるのよ? この波から逸れるのよ! 壁際に動いて!」
「ああ、分かった!」
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