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イライラする。
アイツを見る度にイライラする。
イライラするんだけど、気付いたらいつもあたしはアイツを目で追っている。
「それって恋だよ、恋」
あたし、葉月 桜子（はづき さくらこ）の親友・向井 奈々（むかい なな）は何処となく楽しそうに言う。
ツインテールが可愛い小柄な奈々はいつもこうやって無邪気な事言うんだ。
現在、昼休みの真っただ中。
平穏な時間を過ごしてたのにアイツが視界に入ってくるんだ。
「はぁ？」
あたしは思いっきり嫌な顔をする。
アイツに恋？
ナイ！
絶対にあり得ない！！
「うわ、思いっきり『はぁ？』って言われた」
と言いつつも奈々はどこか楽しそう。
「アイツに恋するなんてありえない。
地球がひっくり返ってもあり得ない」
完全否定。
だってあたしの好みじゃないもん。
あの性格は性（しょう）に合わない。
「オーバーだなぁ」
あたしの表現に奈々は苦笑いした。
「だってアイツは……」
アイツの方をちらりと見る。
「キャッ！」
凄くタイミングよくクラスメートの女子がアイツの前でつまづく。
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