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「ハハ」
あたしのシニヨンをにぎにぎしながら晴人は呑気に笑った。
あたしもつられて笑う。
笑えた。
あたし、ちゃんと笑えた。
「いつもこうやって笑っていたいね」
これはあたしの本心だ。
笑うのってこんなに大事と思わなかった。
「あぁ。
そうだな」
ギュッと晴人はあたしを抱きしめる。
トクントクンと晴人の鼓動が聞こえる。
「よくやるな、俺が見てる前で」
ビクリとあたしの体がなり、自然と晴人から体を離した。
この声は……。
「「岳!」」
あたしと晴人はほぼ同時に声を上げ顔を赤くする。
岳弥……。
いつからいたのかしら……。
「あたしも見てますよ。
お姉さん」
岳弥の横でアニメにでもでてくるようなツインテールの可愛い女の子がいる。
お姉さん……?
てことはまさか……?
「誰?」
あたしは野暮な質問をする。
「俺の彼女」
平然と岳弥は答える。
まぁ、答えはわかってたけどね。
「初めまして。
山本 由果(やまもと ゆか)です」
武人の彼女……由果ちゃんは丁寧に自己紹介をしてくれた。
「いや、このタイミングで冷静だな」
ぽかんとした顔で晴人は言う。
確かに晴人の言うとおりだわ。
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