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「あーづー!!」
つまづいた拍子に、女子の持っていたカップ入りのホットコーヒーがアイツの下半身……もとい、ズボンに直撃。
「だ、大丈夫か?!」
アイツと一緒にいた男子はアイツ以上に驚いている。
「ごめん!
アツイコーヒーかけちゃった!」
女子は慌ててアイツのズボンをハンカチで拭く。
「気にしない、気にしない。
今日寒いし構わない。
俺、コーヒー好きだし」
ヘラヘラとアイツは笑ってる。
この騒動で、クラス中はざわついてる。
「コーヒーぶっかけられて怒らない何てできた人よね、大野君」
奈々は素直に感心してる。
「偽善者」
アイツ……。
大野 晴人(おおの はると)はいつもこうだ。
何をされても滅多な事では怒らない。
誰に対しても優しくて、人当たりがいい。
でもあたしには意地悪で何かとつかかってくる。
黙ってれば長身で黒髪の切れ長瞳でイケメンなのになー……。
そんなアイツがあたしは……。
「ハハ。
それがいいとこなのかもね」
呑気に奈々は笑う。
「どうだか……」
あたしは頭を抱える。
怒るとこはきちんと怒らなきゃいけないと思うんだけどな……。
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