日常と非日常

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鈴莉は妹、鈴莉は妹、鈴莉は妹鈴莉は妹鈴莉は妹鈴莉は妹鈴莉は妹鈴莉は妹鈴莉は妹鈴莉は妹鈴莉は妹鈴莉は妹鈴莉は妹鈴莉は妹鈴莉は妹鈴莉は妹……。 「お前、近い。もっと、離れろ」 「あれ?もしかしてお兄ちゃん、アレしちゃった?まったく、えっちな兄を持つと苦労するね」 何に苦労してるんだよお前は。てかそれ以前にアレって何だアレって。いや、訊いたらドツボだから訊かないけど。 「それはないわ」 「即答!?今私は傷付いたよお兄ちゃん!」 自分から言っておいてどの口がほざくか。とも絶対に口にしない。下ネタが飛んでくるに決まっている。 「そんなの知るか」 「お兄ちゃんがツンツンしてる!さっきのデレは一体いずこへ!?」 賑やかだなあ、こいつ。 「お前なあ……――っ!?」 俺と鈴莉が何かを察知したのは、ほとんど同時だった。確実に、何かが居る。こちらに、近付いてきている。人ではない、獣でもない――この世の者ならざるモノの存在が。 「……近いな」 「……うん。あと、かなり“大きい”」 一体ナニモノなのか。 ベッドから降り、部屋を出て、一階へ向かう。 「鈴斗っ!」 「分かってる。こいつはちょっと、大物かな」 同類の気配に気付かない訳がない九紅璃と合流し、急いで母屋を出る。 呪符は――大丈夫。枚数は足りてる。いつも懐に入れてる十数枚に加え、十数枚。 引かれるような感覚を頼りに、その許へと足を早める。 境内の、開けた場所に、それは居た。 「……猫?」 居た、というより、倒れていた。一匹の小さな猫だ。くすんだ、茶色とも黒色とも呼べる地味な毛色。雑種かとも思ったが、その尻尾は根元から二つに分かれている。 猫又。 ポピュラーな俗称ではそう呼ばれるその猫からは、弱々しい“気”しか感じられない。 「この子が、“気”の……?」 鈴莉が怪訝そうに近付き、整合の一致不一致を確かめようとする。 違う。この“気”の持ち主は、この猫ではない。 もっと大きな――モノ。 そこで気付いた。 「下がれ鈴莉!気配は“真上”だ!」 それを聞くが早いか、鈴莉は猫を抱えてバックステップ、“そこに落ちてきたモノ”をかわす。 粉塵を巻き上げ、片膝をついてしゃがむ事で着地の衝撃を緩和する“落ちてきたモノ”。 砂煙が消え、“落ちてきたモノ”の全貌がだんだんと明瞭になっていく。限りなく人から遠ざかった人型のその姿に、俺は唖然とした。
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